祖父江ぎんなん

祖父江ぎんなんとは

銀杏のまち祖父江町

 愛知県稲沢市祖父江町は、木曽三川がもたらした肥沃な大地に恵まれた江戸時代から続くぎんなんの産地です。

「屋敷ギンナン」

 祖父江町を訪れると、イチョウ畑というよりもイチョウの杜が点在し、垣根を巡らした庭には必ずというほど数十年以上は経たであろう大木があり、晩秋になるとそれらが一斉に黄金色に染まり、たわわに実らせた銀杏に出会い、素晴らしい風景が一望できます。
 イチョウは燃えにくいため防災用に、また、伊吹おろしから屋根を守る防風のために江戸時代に神社、仏閣、屋敷まわりに植えられてきました。
 現在この実を収穫調整していることから、祖父江のギンナンは「屋敷ギンナン」と言われています。

 古くは米の凶作時の備蓄食糧に使われたというギンナン。その生産を目的とした栽培は、祖父江が最も古いとされていますが、歴史は意外と新しく約100年ほど前からであるという。

 当時、山崎集落から名古屋へ3人の者がギンナンを売りに行っており、大粒種は在来種の6~7倍の高値で売れたそうです。この事情を知った血族一族の間に大粒種の穂木が広まり、集落全体に普及していきました。

 その当時接木され100年以上と思われる大樹が、今も多くの実をつけています。このようなことから食用を目的に品種の選抜、淘汰が行われてきました。祖父江町内で栽培されている品種には久寿(久治)、金兵衛、藤九郎、栄神等があります。

「祖父江ぎんなん」

 木曽川がもたらした肥沃な大地で育つイチョウの樹から採れる「祖父江ぎんなん」は、大粒でもっちりとした食感が特徴で、東京の一流料亭でも高い評価を得ています。
ぎんなん特有の香りとほろ苦さは、日本の秋の味覚として是非味わいたいものです。

 また、ぎんなんの実は9月~10月は美しい翡翠色、その後は鮮やかな黄金色と季節によって色を変えて目も楽しませてくれます。

「イチョウのまち祖父江町」

 町内には1万本を超えるイチョウの樹があり、新緑・青葉・黄葉と四季折々の美しさを見ることができます。
 毎年秋には町全体が黄金色になり、毎年11月には、銀杏祭りが開催され大勢の来場者が訪れます。

1841 天保11年頃 富田栄左衛門がギンナン苗を植える(のちの品種「久寿(久治)」)
1870 明治 3年頃 横井金兵衛が自宅にあったギンナンを行商(のちの品種「金兵衛」)
1901 明治34年頃 食べる銀杏の実の採取を目的としたイチョウの木の栽培開始
1940 昭和15年頃 山崎地区枇杷島市場販売 一升枡売
1945 昭和20年頃 園芸出荷組合 大根、かぶら、白菜、ささげ、ウド、フキと併せ出荷

黄葉まつりの様子